最優秀賞
光の扉
市川 知義
東京芸術大学大学院 美術研究科
扉について、様々な解釈ができると思う。その中でも僕は、部屋と部屋をつなぐ「扉」を、通過した後に一瞬でそこにある世界を切り換える装置と解釈した。扉を開ける前の部屋と、扉を通過した後の部屋では、まるで別世界のように感じる。映画の1シーンでも、扉は記号としてよく使われている。それは、ある部屋のシーンから、扉を開くと別の部屋のシーンへと切り替わるといった具合。そんな、部屋と部屋を切り換える役割を持つ扉に、少し付加価値をつけてみる。例えば、部屋から部屋に移動する瞬間に、光が降り注ぎ、外の景色が目に飛び込んでくるような扉。映画を編集するように、シークエンスの中に、時間や季節によって刻々と移り変わる、光や外
部の状況を挿入していく。一瞬の光と一瞬の景色が、生活の流れの中に何度も登場する。単純に、シーンを切り換えてしまうだけではない、扉の可能性を広げる提案でもあると言えるだろう。
部の状況を挿入していく。一瞬の光と一瞬の景色が、生活の流れの中に何度も登場する。単純に、シーンを切り換えてしまうだけではない、扉の可能性を広げる提案でもあると言えるだろう。
(平成14年度)第9回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「扉」
審査員:青木 淳氏