佳作
あこがれの家
大西 宣彰
多摩美術大学 大学院 美術研究科 環境デザイン
共同制作者/大室 佑介
私は失敗した。
私にとって、均質で真っ白な壁に囲まれた家は退屈すぎた。
皆は、ここを美しい「生」に満ちた空間だと言う。だが、私はどうだ。ここに住み続けたことで、家に殺される恐れを抱くようになった。汚れを許さぬ壁、表情のない家具、いやに透き通っている。これほど無表情な「生」が私は怖い。この家のどこかで、「死」が押さえつけられ、いつの日か、それが噴き出してきやしないかと心配なのだ。
隣の家の窓から、きれいな花がみえる。
そうだ、私は「生」を映すかのような、あの穢れなき姿に憧れ、さっさと家を建ててしまった。
いつの日だったか、隣人が漏らした言葉が頭をかすめる。
『住宅は、死へ向かう、機械である。』
私にとって、均質で真っ白な壁に囲まれた家は退屈すぎた。
皆は、ここを美しい「生」に満ちた空間だと言う。だが、私はどうだ。ここに住み続けたことで、家に殺される恐れを抱くようになった。汚れを許さぬ壁、表情のない家具、いやに透き通っている。これほど無表情な「生」が私は怖い。この家のどこかで、「死」が押さえつけられ、いつの日か、それが噴き出してきやしないかと心配なのだ。
隣の家の窓から、きれいな花がみえる。
そうだ、私は「生」を映すかのような、あの穢れなき姿に憧れ、さっさと家を建ててしまった。
いつの日だったか、隣人が漏らした言葉が頭をかすめる。
『住宅は、死へ向かう、機械である。』
(平成18年度)第13回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「対比/対立のある住宅」
審査員:鈴木 了二氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
大賞 | 北口 智浩 東京芸術大学 大学院美術研究科 建築学 | 2つの生活と、 いくつかの出来事 | 作品 | 共同制作者/ 山下 祥平 (金沢美術工芸大学大学院デザイン専攻) | 1,000 |
優秀賞 | 長谷 章臣 早稲田大学 大学院理工学研究科 建築学 | house torso | 作品 | 500 | |
入選 | 青木 公隆 東京大学 大学院工学研究科 建築学 | 朽ちる間 | 作品 | 共同制作者/ 坂巻 直哉 (東京理科大学大学院 工学研究科建築学専攻) | 100 |
入選 | 柴山 浩紀 東京大学 工学部都市工学科 都市計画 | 隠蔽/露呈 | 作品 | 共同制作者/ 向山 裕二 (東京大学工学部建築学科) | 100 |
入選 | 田内 徹郎 フリー | 不確かな場所の、 確かなリズム | 作品 | 100 | |
佳作 | 西村 智宏 京都大学 大学院 工学部建築学科 生活空間設計学 | 均衡を引き出す家 | 作品 | 30 | |
佳作 | 西川 拓 東京大学 大学院工学研究科 建築学 | 大きい私と小さい私 | 作品 | 30 | |
佳作 | 大西 宣彰 多摩美術大学 大学院美術研究科 環境デザイン | あこがれの家 | 作品 | 共同制作者/ 大室 佑介 (多摩美術大学大学院 美術研究科環境デザイン) | 30 |
佳作 | 橋本 健史 横浜国立大学 工学部建設学科 建築学コース | 密度の家 | 作品 | 共同制作者/ 辻 琢磨 (横浜国立大学 工学部建設学科建築学コース) 彌田 徹 (横浜国立大学 工学部建設学科建築学コース) | 30 |
佳作 | 曽我部 紘 早稲田大学 大学院 建築学 | 舞台・舞台裏のセメギアイ | 作品 | 共同制作者/ 宮本 将穀 (早稲田大学大学院 建築学専攻) | 30 |
佳作 | 新 雄太 東京芸術大学 大学院 美術研究科建築学 | 長針と短針の家 | 作品 | 30 | |
佳作 | 田中 渉 東京大学 大学院工学系研究科 建築学 | 痩せゆく家 | 作品 | 共同制作者/ 虎尾 亮太 (東京大学大学院 工学研究科建築学専攻) | 30 |
合計12件 | 総額 2,010 |