奨励賞
大地は広がり、建築は根を張る
安田 諭史
神戸大学 大学院 工学研究科 建築学専攻
植物は根を張り、土から養分を吸い上げ、朽ち果てた葉は、肥やしとなり、土に還っていく。大地は水を浄化し、養分を蓄え、生き物に生命を宿し、豊かな環境を創ってきた。しかし、私たちは建築の表面にとってつけたような緑を貼り付け、宙に持ち上げられた植物は大地から離れ、アスファルトで覆われた都市では根を張ることもできず、雨水も大地に還ることはできずにいる。植物と大地の繋がりを取り戻すことで、人と植物と大地の関係を再構築し、地球本来の多様性を許容した豊かな生活を取り戻そう。人々を取り巻く環境において、建物が建てられることは地表面が減るのではなく、そこに立ち上がる建物の表面積のすべてを地表面として捉えると緑化の方法は変わってくるのではないだろうか。新たな地表面を大地と直接つなげ、建築そのものがプランターになる。緑化と建築という一見相反するものが一体となり、自然と人工が均衡関係をつくる。
(平成26年度)第21回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「建築緑化」
審査員:藤森 照信氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
最優秀賞 | 林 拓真 東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 建築に植物を生けるように | 作品 | 共同制作者/ 花摘 知祐 (東京理科大学大学院 理工学研究科建築学専攻) 村松 佑樹 (東京理科大学大学院 理工学研究科建築学専攻) | 500 |
優秀賞 | 田山 勇輔 近畿大学 産業理工学部 建築・デザイン学科 デザイン専攻 | 木の建築 | 作品 | 400 | |
優秀賞 | 堀次 宏暢 福井大学 工学部 建築建設工学科 建築学専攻 | 屋根の根 -Roof of Roots- | 作品 | 400 | |
準優秀賞 | 平川 慧亮 北九州市立大学 大学院 環境工学専攻 | 器の森 -Utsuwa no Mori- | 作品 | 150 | |
準優秀賞 | 猪邉 将志 藤田社寺株式会社 | 廃屋緑化 | 作品 | 150 | |
準優秀賞 | 額賀 俊成 東京大学 大学院 工学系研究科 建築学専攻 | 動的平衡の暮らし | 作品 | 150 | |
奨励賞 | 小林 岳史 名古屋芸術大学 デザイン学部デザイン学科 スペースデザインコース | 木と生き、死ぬ建築 | 作品 | 100 | |
奨励賞 | 安田 諭史 神戸大学 大学院 工学研究科 建築学専攻 | 大地は広がり、建築は根を張る | 作品 | 100 | |
奨励賞 | 大和田 卓 東京大学 大学院 工学系研究科 建築学専攻 | 校器 プランテーション | 作品 | 共同制作者/ 吉野 わか子 (東京大学大学院工学系研究科建築学専攻) | 100 |
奨励賞 | 田中 和希 工学院大学 大学院 建築学専攻 | 朽築 ~侵略する植物と抗う建築物~ | 作品 | 共同制作者/ 棚橋 風太 (工学院大学大学院建築学専攻) | 100 |
合計10件 | 総額 2,200 |