研究報告要約
国際交流
30-207
平沼 孝啓
目的
1.学生のための発表の場をつくる
学内での研究活動が主体となっている学生にとって、一般市民に開かれた公開プレゼンテーションを行うこと自体が非常に貴重な体験となります。また、現在建築界で活躍する建築家を多数ゲスト講師に迎えることで、質の高い講評を参加者は受けることができます。また、ワークショップ終了後の会場での展示や、会期報告としてホームページや冊子の作成を行い、ワークショップの効果がさらに継続されるような仕組みをつくります。
2.教育・研究活動の新たなモデルケースをつくる
海外での教育経験のある講師を招聘する等、国際的な観点から建築や環境に対する教育活動を行うワークショップとして、国内では他に類を見ない貴重な教育の場を設けます。また、行政や教育機関の連携事業として開催することで、国内外から注目される教育・研究活動として、質の高いワークショップをつくることを目指します。
3.地球環境に対する若い世代の意識を育む
現在、関西地方には、世界に誇る貴重な文化遺産を有する京都や奈良、琵琶湖や紀伊半島の雄大な自然など、豊かな環境が数多く残っています。しかしながら、近年の社会経済活動は環境への負荷を増大させ、歴史的に価値の高い環境をも脅かすまでに至っています。このワークショップでは一人一人が地域環境の特殊性、有限性を深く認識し、今後の建築設計活動において環境への配慮を高めていくと同時に、地球環境の保全に貢献していくことをねらいとしています。次世代を担う学生たちが、具体的な経験を通して環境に対する意識を育むことは、環境と建築が共存できる未来へと、着実につながるのではないかと考えます。
4.地域との継続的な交流をはかる
歴史、文化、自然が一体となって残る地域の特色を生かしたプログラムを主軸に、特殊な地域環境や、住民との交流によって生み出される制作体験を目的としています。各地域には、それぞれの土地で積み重ねてきた歴史や文化、風土があり、短期間のイベントであればそれらを深く知ることはできませんが、数ヶ月にわたる継続的な活動を前提として取り組むことで、より具体的な提案や制作によって、地域に還元していくことができると考えています。
内容
“唯一無二の環境を守るために、あなたの提案を実現化してください”
フォリーの原寸模型を地域産材(自然素材 / 木材、和紙、土、石など)の材料で制作
日本の文化を世界へ率いる方々や、建築・美術 両分野を代表する評論家をはじめ、第一線で活躍をされている建築家や都市計画家、アートディレクターやコミュニティデザイナー、構造研究を担い教鞭を執られているストラクチャー・エンジニアによる講評。また近畿二府四県の大学で教鞭を執られ、日本を代表されるプロフェッサー・アーキテクトの皆さまにご参加いただきました。
五十嵐太郎(建築史家・建築評論家 │ 東北大学 教授)
太田 伸之(クールジャパン機構 CEO)
栗生 明(建築家│ 千葉大学 名誉教授)
小松 浩(毎日新聞社 主筆)
建畠 晢(美術評論家 │ 多摩美術大学 学長)
南條 史生(美術評論家 │ 森美術館 館長)
山崎 亮(コミュニティデザイナー│東北芸術工科大学 教授)
稲山 正弘(構造家 │ 東京大学 教授)
腰原 幹雄(構造家 │ 東京大学 教授)
櫻井 正幸(旭ビルウォール 代表取締役社長)
佐藤 淳(構造家 │ 東京大学 准教授)
陶器 浩一(構造家 │ 滋賀県立大学 教授)
芦澤 竜一(建築家 │ 滋賀県立大学 教授)
遠藤 秀平(建築家 │ 神戸大学 教授)
竹原 義二(建築家 │ 摂南大学 教授)
長田 直之(建築家 │ 奈良女子大学 准教授)
平田 晃久(建築家 │ 京都大学 准教授)
平沼 孝啓(建築家 │ 平沼孝啓建築研究所 主宰)
横山 俊祐(建築家 │ 大阪市立大学 教授)
吉村 靖孝(建築家 │ 明治大学 特任教授)
参加対象者 建築および環境デザイン等の分野を学ぶ学生および院生
参加予定人数 60名
大学院生1人+参加学生5人×8班 計40名 + 運営サポーター12名
主 催:アートアンドアーキテクトフェスタ
方法
スケジュール(2018年)
2017年 11月23日(木)参加学生募集・座談会の開催
12月01日(金)参加者募集開始
12月16日(土)事業計画(草案)決定と募集パンフ全国配布
2018年 01月06日(土)プレスリリース配信(雑誌各社への広報)
05月10日(木)参加説明会開催(東京大学)腰原幹雄
05月17日(木)参加説明会開催(京都大学)山崎亮
05月31日(木)23:59必着参加者募集締切(参加者決定)
06月23日(土)現地説明・調査
07月14日(土)13:00 - 17:00 各班エスキース(東京会場)(大阪会場)於
07月28日(土)~29日(日)提案作品講評会と実施制作打合せ(1泊2日)
07月28日(土)提案作品講評会
07月29日(日)実施制作打合せ
07月30日(月)~08月27日(月)各グループ課題の制作
08月28日(火)~09月03日(月)合宿にて原寸制作ファイナル(6泊7日)
08月28日(火)現地集合・資材搬入・制作段取り(1日間)
08月29日(水)~09月01日(土)原寸模型制作 (4日間)
09月02日(日)公開プレゼンテーション(1日間)
09月03日(月)清掃・解散(1日間)
結論・考察
建築は景観・地形・歴史・アクティビティ・無形の質(Intangible Quality)に注目し、「場」を読み解くものですが、図面や模型だけの成果物で終わらず、構造や計画、材料(素材)の検討を行う中間講評を経て、実務者がサポートに入り準備制作するプロセスは、これまでの建築系ワークショップにない先進的で時代を画したことが、重要な特徴です。同じくモノに対峙する高山建築学校が装飾寄りの制作だとすれば、これはより構造的、構法的な側面が重視されており、参加者が特殊な歴史環境と格闘しながら建築的なかたちにたどり着く。すなわち、建築と周囲環境に「阿吽」の関係を生起し、歴史的地域がもつ魅力の再発見を図る試みでもあるのです。これは、建築を学ぶ学生にとっては、多様なヒト・モノ・コトの関わりを実体験できる最も貴重な学習体験の場ともなります。
また、原寸の空間体験ができる小さな建築物の実現と、一般者を多く招いたファイナルの公開プレゼンテーションまでを開催することで、これまでにない新たな試みを実施する『全国の大学生を中心とした合宿による地域滞在型の建築ワークショップ』は、それぞれの土地で積み重ねてきた歴史や文化、風土を守り、短期間のイベントではなく、数ヶ月にわたる継続的な活動を前提として取り組むことで、より具体的な提案や制作により、地域へ還元されていく効果と観点を既にもちます。
英文要約
研究題目
Architectural Workshop Ise 2018
申請者(代表研究者)氏名・所属機関及び職名
Non-Profit Organization (NPO) Art and Architect Festa (AAF)
Chief Director
Kohki Hiranuma (Kohki Hiranuma Architect & Associates)
本文
Architectural workshop is a workshop where students majoring in fields such as architecture and environmental design leave the campus and under the guidance of lecturers, mainly architects active in Japan and abroad, In that place, the purpose is to create real works.