佳作B賞
溜(タ)め家(イエ)
―ため池と共に生きる大きな家の提案―
西尾 依歩紀
金沢工業大学 建築学部 建築学科
私の故郷、大阪・泉州に数多く点在するため池。社会構造の変化によって、農業用水という本来の価値を失い、人々の日常や社会から見放され、今も尚消え続けている。私は、ため池に対して、「懐の大きさ」に価値を見出した。そこで、建築と営みを一体で考えた、様々な者が共生する家を提案する。建築は、「極度の水位変動」、「かいぼり」、「自然水質浄化」の3つのキーワードからアプローチし、それらが相互的に関係し合いながら、新たなため池の姿を形成する。人々が池の環境を、日常的に手を掛けることで、人間も含めた多様な動植物の棲み処として生まれ変わる。池や周辺に点在する要素・文化・資源を「溜める」ことで、都市化により、滞っていたまちを再び動かす場所として蘇る。
そこは、生活に要らなくなったものから目を逸らし、切り落とし、何もかもを管理下に置く窮屈な世界では見ることのなかった「大きな家」に成り得ると考える。
そこは、生活に要らなくなったものから目を逸らし、切り落とし、何もかもを管理下に置く窮屈な世界では見ることのなかった「大きな家」に成り得ると考える。
(令和4年度)第29回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「大きな家」
審査員:平田 晃久氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
金賞 | 早坂 愛佳 東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 | 川を守る者達 | 作品 | 1,000 | |
銀賞 | 服部 圭佑 九州大学大学院芸術工学府 | 3センチの空をつかまえる家 | 作品 | 共同制作者/ 柳 雄貴 (九州大学大学院芸術工学府) | 500 |
銅賞 | 坂野 修平 フリーランス | 批評するキリン | 作品 | 300 | |
佳作A賞 | 杉山 峻涼 武蔵野美術大学 建築学科 | 大きなおだんごの家 | 作品 | 120 | |
佳作A賞 | 野中 郁弥 横浜国立大学大学院Y-GSA | 船を造ること、海を使うこと、街を育てることー造船業がつくる新しい大きさの中に暮らすー | 作品 | 120 | |
佳作B賞 | 宮本 皓生 工学院大学建築デザイン学科 | うつろいの映写機 | 作品 | 100 | |
佳作B賞 | 西尾 依歩紀 金沢工業大学 建築学部 建築学科 | 溜(タ)め家(イエ) ―ため池と共に生きる大きな家の提案― | 作品 | 100 | |
佳作B賞 | 野中 美奈 横浜国立大学大学院 Y-GSA | みんなでつくる大きなおうち ―ワザによりお互いを尊重し、みんなを受け入れる― | 作品 | 100 | |
佳作C賞 | 岩下 隆平 東京工業大学 環境社会理工学院 建築学系 | 境界線に屋根をかける | 作品 | 80 | |
佳作C賞 | 後藤 樹也 東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 | 不完全が生む寛容な家 | 作品 | 共同制作者/ 竹澤 龍河 (東北芸術工科大学 ) | 80 |
合計10件 | 総額 2,500 |