佳作
長針と短針の家
新 雄太
東京芸術大学 大学院 美術研究科 建築学
この住宅には、時計がない。刻を知るのは、水面の影や互いの距離などによる、相対的な他者との関係性からだ。何時、如何なるときも、一時間に一度、生活は重なり合う。われわれが依存している、時間という不変の流体の中に、日々更新される生活の場を投じる。そこに住まう自己と俯瞰する自己。生体と客体は、常に入れ替わりながら水面を濁らせていく。
時計という一定の運動の上に、毎日の生活リズムを被せることで、物理的な相互の現象が表面化するのでは、と考えた。時間による場の価値が、同じ床であるにも関わらず、刻々と変化していく。見えない数値のつくる空間性は、時計を介してわれわれの行為を規定する。ならば、その媒介である長針と短針の関係性にドメスティックなヴォリュームを与えることで、目に見える空間性となり、陽の位置や影、水、家具等の環境という他者性に今度は依存していく自己に気付くことになる。
時計という一定の運動の上に、毎日の生活リズムを被せることで、物理的な相互の現象が表面化するのでは、と考えた。時間による場の価値が、同じ床であるにも関わらず、刻々と変化していく。見えない数値のつくる空間性は、時計を介してわれわれの行為を規定する。ならば、その媒介である長針と短針の関係性にドメスティックなヴォリュームを与えることで、目に見える空間性となり、陽の位置や影、水、家具等の環境という他者性に今度は依存していく自己に気付くことになる。
(平成18年度)第13回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「対比/対立のある住宅」
審査員:鈴木 了二氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
大賞 | 北口 智浩 東京芸術大学 大学院美術研究科 建築学 | 2つの生活と、 いくつかの出来事 | 作品 | 共同制作者/ 山下 祥平 (金沢美術工芸大学大学院デザイン専攻) | 1,000 |
優秀賞 | 長谷 章臣 早稲田大学 大学院理工学研究科 建築学 | house torso | 作品 | 500 | |
入選 | 青木 公隆 東京大学 大学院工学研究科 建築学 | 朽ちる間 | 作品 | 共同制作者/ 坂巻 直哉 (東京理科大学大学院 工学研究科建築学専攻) | 100 |
入選 | 柴山 浩紀 東京大学 工学部都市工学科 都市計画 | 隠蔽/露呈 | 作品 | 共同制作者/ 向山 裕二 (東京大学工学部建築学科) | 100 |
入選 | 田内 徹郎 フリー | 不確かな場所の、 確かなリズム | 作品 | 100 | |
佳作 | 西村 智宏 京都大学 大学院 工学部建築学科 生活空間設計学 | 均衡を引き出す家 | 作品 | 30 | |
佳作 | 西川 拓 東京大学 大学院工学研究科 建築学 | 大きい私と小さい私 | 作品 | 30 | |
佳作 | 大西 宣彰 多摩美術大学 大学院美術研究科 環境デザイン | あこがれの家 | 作品 | 共同制作者/ 大室 佑介 (多摩美術大学大学院 美術研究科環境デザイン) | 30 |
佳作 | 橋本 健史 横浜国立大学 工学部建設学科 建築学コース | 密度の家 | 作品 | 共同制作者/ 辻 琢磨 (横浜国立大学 工学部建設学科建築学コース) 彌田 徹 (横浜国立大学 工学部建設学科建築学コース) | 30 |
佳作 | 曽我部 紘 早稲田大学 大学院 建築学 | 舞台・舞台裏のセメギアイ | 作品 | 共同制作者/ 宮本 将穀 (早稲田大学大学院 建築学専攻) | 30 |
佳作 | 新 雄太 東京芸術大学 大学院 美術研究科建築学 | 長針と短針の家 | 作品 | 30 | |
佳作 | 田中 渉 東京大学 大学院工学系研究科 建築学 | 痩せゆく家 | 作品 | 共同制作者/ 虎尾 亮太 (東京大学大学院 工学研究科建築学専攻) | 30 |
合計12件 | 総額 2,010 |