大賞
装う家
田村 翔
芝浦工業大学 大学院 工学研究科 建築工学
この住宅は「豪華さ」のある住宅ではなく、主人の訪問者に対する「装い」を空間化したものである。敷地は出来るだけ一般的な住宅地のほうが良い。この住宅は暗く長い廊下と、二つの舞台があるだけだ。特別高価なものも貴重なものも存在しない。ただ少し普通と違っているのは、訪問者の立場で設計されていることである。つまり、訪問者へ豪邸を「装う家」なのである。この家には部屋と呼ばれるものは一つしかないが、もともと住宅としてあったものを書割化することで無数に部屋があるように装う。時にその部屋は、絵画のギャラリーであり、大広間であり、庭園であり、プールサイドの一室である。主人たちはたとえ、かつて住宅としてあったものが機能しなくなっても必死に「装う」のである。それは「装い」を怠ったときに豪邸ではなくなるからだ。私が描きたかったのは、そんな主人の「見栄」であり、それに押しつぶされそうな「生活」である。
(平成19年度)第14回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「超豪邸」
審査員:五十嵐 太郎氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
大賞 | 田村 翔 芝浦工業大学 大学院 工学研究科 建築工学 | 装う家 | 作品 | 共同制作者/ 山下 祥平 (金沢美術工芸大学大学院デザイン専攻) | 1,000 |
優秀賞 | 澤谷 徳幸 千葉大学 大学院 工学研究科 | みえる光の路 | 作品 | 500 | |
入選 | 皆川 拓 千葉大学 大学院 工学研究科 建築・都市科学 | 目覚めの家 | 作品 | 100 | |
入選 | 幸村 雄太 芝浦工業大学 大学院 工学研究科 建設工学 | ガリバートンネルハウス―超/長豪邸 | 作品 | 共同制作者/ 小林 怜二 (芝浦工業大学大学院 建設工学専攻) | 100 |
入選 | 久保 秀朗 東京大学 大学院 建築 | 即身成仏の家 | 作品 | 共同制作者/ 都島 有美 (九州大学大学院) | 100 |
佳作 | 草ヶ谷 友則 フリー | 背景の家 | 作品 | 30 | |
佳作 | 木原 圭崇 今村雅樹アーキテクツ | 「見せびらかす」住宅 | 作品 | 共同制作者/ 小関 恒司 (日本大学大学院 今村研究室) 福永 雅美 (日本大学大学院 今村研究室) | 30 |
佳作 | 守行 良晃 京都工芸繊維大学 大学院 近代建築史 | 超・都心居住、命の価値は1人当たり1万円 | 作品 | 30 | |
佳作 | 斎藤 隆太郎 東京理科大学 大学院 工学研究科 建築学 | LOCK HOUSE | 作品 | 共同制作者/ 萩野 太郎 (東京理科大学大学院 工学研究科建築学専攻) | 30 |
佳作 | 大平 貴臣 大平貴臣建築設計事務所 | X house | 作品 | 共同制作者/ 関口 翔 (慶應義塾大学大学院 理工学研究科隈研吾研究室) | 30 |
佳作 | 川上 赳 東北大学 大学院 都市・建築デザイン学講座 都市・建築理論 | 夢想の家 | 作品 | 共同制作者/ 奥野 幹 (東北大学大学院 都市・建築デザイン学講座 都市デザイン学分野) 花村 和也 (東北大学大学院 都市・建築デザイン学講座 都市デザイン学分野) | 30 |
合計11件 | 総額 1,980 |